家族からの指摘は「命を救うサイン」
「あなた、昨夜すごいいびきだったよ」「途中で息が止まっていて怖かった」——ご家族からこんな言葉をかけられたことはありませんか?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の最大の特徴は、本人に自覚症状がほとんどないことです。眠っている間に起きていることなので、自分では気づきようがありません。だからこそ、隣で寝ているご家族の「気づき」が、診断と治療への最も重要な第一歩になるのです。
「大げさだな」「年を取ればいびきくらいかくよ」と軽く流してしまう方も多いのですが、ご家族の指摘は決して大げさではありません。特に「息が止まっていた」という指摘は、SASの可能性を強く示唆するものです。
「息が止まる」状態が体にもたらす悪影響
睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が急激に低下します。すると、脳は「危険だ!」と判断して覚醒反応を起こし、呼吸を再開させます。この「無呼吸→覚醒→呼吸再開」のサイクルが、一晩に数十回から数百回も繰り返されるのです。
この繰り返しは、心臓や血管に大きな負担をかけます。SASを放置した場合のリスクとして、以下のことが医学的に明らかになっています。
高血圧のリスクが約2倍に上昇
心筋梗塞のリスクが約3倍に上昇
脳卒中のリスクが約4倍に上昇
糖尿病の悪化
不整脈の発症
これらは「いびき」という一見些細な症状の裏に潜む、深刻な健康リスクです。
いびきを放置してはいけない受診の目安
すべてのいびきが病気というわけではありません。お酒を飲んだ日や、疲れがたまっている日に一時的にいびきをかくことは、誰にでもあります。
しかし、以下のような場合は「治療が必要ないびき」の可能性が高く、早めの受診をお勧めします。
ほぼ毎晩、大きないびきをかいている
いびきの途中で呼吸が止まることがある
日中に強い眠気を感じる
朝起きたときに頭痛や倦怠感がある
最近、血圧が高くなった
体重が増加傾向にある(BMI 25以上)
特に「いびき+無呼吸+日中の眠気」の3つが揃っている場合は、SASの可能性が非常に高いと考えられます。
家族と一緒に受診してもいい?
もちろんです。当院では、ご家族の同伴での受診を歓迎しています。
むしろ、ご家族の情報は診断にとって非常に貴重です。「いびきの大きさ」「無呼吸の頻度」「無呼吸の持続時間」など、本人には分からない情報を、ご家族から直接お聞きすることで、より正確な診断につなげることができます。
また、SASの治療(特にCPAP療法)は長期にわたるため、ご家族の理解と協力が治療の継続に大きく影響します。治療の内容や効果について、ご家族にも一緒にご説明させていただくことで、ご家庭全体で治療に取り組んでいただけます。
「夫を病院に連れて行きたいけど、本人がなかなか行きたがらない」というお悩みも、よくお聞きします。まずは奥様だけでご相談にいらしていただいても構いません。お気軽にお問い合わせください。
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